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広尾病院移転計画を脅かす最大のウィークポイントとは? ヘリポート確保をめぐる議論勃発

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前回の広尾病院移転計画の記事ではトリアージという言葉を取り上げた。
今回はヘリポートがポイントだ。

 
巨費を投じてつくった病院ヘリポートでも、実際には使用できないヘリポートが日本中にいくつもあるらしい。
設計事務所やゼネコンへの丸投げが最も危険だとされている。

一番多いのは、横風の問題。
ビルの屋上は強いビル風が生じることがあり、上空は比較的穏やかでも屋上に近づくと強い横風が生じることがある。

次に危ういのは、屋上面へ直接降りるタイプのヘリポート。
屋上へ直接降りるタイプのヘリポートには、最大重量の4.5倍が要求されるそうだが、この条件に耐えうる屋上面を持つビルはほとんどないそうである。
現在日本にはこのタイプのヘリポートが結構あるらしい。
ほとんどが上記の勧告を認識していないか、無視して設計したんじゃないかと言われている。

さらに、強度と大きさは問題なかったが、照明施設に関しては航空法に則った場所に基準の明るさを確保できず、日没後の緊急患者の受け入れはできない、というヘリポートがあるらしい。

そのほか、ドクターヘリ対応の着陸施設をつくったのはいいが、水平移動設備を講じなかったため重篤患者を階段で運んでいるとか、実績の足りない設計事務所に依頼したため、夏場熱膨張により盤膨れをおこして使えなくなったとか、運用方法において住民とトラブルが発生し現在は使用できないヘリポートとか、さまざまな失敗例があるという。


都立広尾病院は基幹災害拠点病院だ。
基幹災害拠点病院というのは、地震などの災害発生時に災害医療を行う医療機関を支援する機能を有する病院のことである。

その役割は、
被災者の救命医療
ヘリコプターによる患者搬送
DMAT(災害派遣医療チーム)の派遣
災害拠点病院間の患者搬送
などである。

このことからヘリポートの確保は重要であることがわかる。

大災害時に救助の要となるのは患者を運ぶヘリコプターの存在だ。
そのヘリコプターが、いざ着陸のためにヘリポートに接近したら、強い横風のためなかなか降りられなかったとか、風をさけるため居住区側に設置したら、近隣住民とトラブルが発生して現在係争中とか、そんな事態になってはならないのである。

東京が大災害に見舞われたとき、基幹災害拠点病院として機能するのかどうかは首都防災に直結する。わたしたち都民にとって重要な問題だ。

では、都立広尾病院の移転先になっている青山エリアは大丈夫だろうか。
ヘリポートの確保については十分な検討がなされているのだろうか。

実は現時点の案では、ヘリポートが設置される建物の横に特定街区の境界線があり、これが問題点の一つになりそうなのだ。

青山エリアはこどもの城の部分と国連大学がある部分が特定街区だが、それ以外は30mの高さ制限がある。

特定街区では高さ制限などが緩和される。
ヘリポートを設置できたとしても、ヘリにとって危険な強い横風が吹く可能性がある。国連大学を通り抜ける風がビルの隙間や道路を抜けて南側へ流れていくのが青山エリアの風の流れだそうだ。
ビルは高ければ高いほど強い風が生じやすくなる。

特定街区の高いビルだけでなく、緊急輸送道路に指定されている青山通りも懸念がある。
大災害が発生すると青山通りでは大渋滞が発生すると予想される。そのため青山通りはヘリポートとしては機能しないのではないか、という見方がある。

現在、都が示しているヘリポート案では、実際の着陸が困難になる可能性があることがわかってきた。
東京都はヘリポートの位置などは、これから本格的に検討するとしている。

だから、青山エリア移転に断固反対というつもりはないが、豊洲移転問題の二の舞いだけは避けてほしいと思う。

都立広尾病院の移転新築は、当時舛添要一元知事の最大の目玉だった。
東京都の幹部が都立広尾病院の佐々木前院長にそう告げていたことがわかった。
地味な改築のみで終わらすのではなく、華々しく巨費を投じて移転新築したかった、というのが真相のようである。
そのため、本来最優先されるべきヘリポートの確保の検討が置き去りになった可能性は高い。

前述の佐々木前院長はこのように語っている。
「どんな機能を持たせるということが無視されて(移転先の)場所だけがきたので本末転倒だと思った。病院のビジョンとか、どういうものを作りなさいという思いれは無いんだと思う」

豊洲移転問題によく似ている。
そもそも移転新築することが、安全より優先してしまっているふしがある。

トリアージって何?広尾病院移転計画は第二の豊洲問題なのか?

「はじめに移転ありき」ではなく、ちゃんと広尾の現地建て替え案と比較検討し直してから計画を進めてほしいと思う。
敷地が狭く、特定街区になっていて通常より高いビルがある青山エリアより、現広尾病院の土地のほうがヘリ着陸に適しているではないか、という声も上がっている。

くりかえし強調したいのは、大災害時に救助の要となるのはヘリコプターの存在だということ。
だから、(当然重篤患者の搬送など周辺の連携も含んだ)しっかりしたヘリポートの確保を最優先してほしいものだ。