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しんさくのねっとかわら版

私が住んでいる東京都の話題や日本の将来について、濃い情報を発信します

トリアージって何?広尾病院移転計画は第二の豊洲問題なのか?

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先日テレビのとある討論会で「トリアージ」という用語が紹介されていた。
討論会のテーマは都立広尾病院(以後広尾病院)の移転計画に関するものだった。
移転先に決定した青山エリアにはトリアージのスペースが足りない、という指摘がされていたのである。

 
トリアージってなんだろう。

それは負傷者の重症度に基づいた優先順序の決定のことだそうである。
広尾病院災害拠点病院なので、このトリアージは大事なポイントだという話だった。


さて、この青山に移転が決まっている広尾病院についてだが、先日の記者会見で小池知事が、広尾病院については立ち止まって考えるお考えはお持ちか?と記者に質問されていた。
それに対して小池知事は、
広尾病院については明日、明後日の話ではない、豊洲市場のようにもうできてしまったという話ではなくて、7年先の話」

としながらも、「慎重な対応が必要だと考えている」と答えている。
ただし、優先順位については現時点であまり高いところに置いていないと述べていることから豊洲問題ほど関心を持たれていないのかもしれない。

一応小池知事が言及したように7年先の話ではあるが、もし移転先のこどもの城跡地の購入を見直す気があるのなら、わりと早めに着手すべき課題だ。たしか土地を購入するかどうかを検討するにあたって期限というものがあったはずである。
移転予定地については来年3月までに国と売買契約を結ばなければ、タイムオーバーだという話もあったような気がする。


記者会見で小池知事が広尾病院について質問されたのには理由がある。
この広尾病院移転計画にはいくつも不自然な点があるからだ。

広尾病院は老朽化のため、ずっと以前から専門委員による対応検討がなされていた。
ところが、この件が急に青山への移転新築計画になり、異例の速さで決定されたのである。

患者、近隣住民、医師会は寝耳に水だったそうである。

さらに、性急すぎる移転新築計画に意見した佐々木前病院長が異動になった。(佐々木前病院長には脅迫状まで届いている)

2つの調査報告書の謎もある。
この広尾病院老朽化対策に関して2痛の調査報告書が別々の意図で作成された。
まず佐々木前病院長が都の依頼を受け準備した最初の調査報告書。
みずほ情報総研が作成したので「みずほ調査」と呼ぼう。
「みずほ調査」は現地建て替え案の評価が高い内容だったそうである。

そして、都が伊藤喜三郎建築事務所に発注したもう一つの調査報告書。
これを「喜三郎調査」と呼ぶことにしよう。
「喜三郎調査」は移転新築案の評価が高い内容だったそうである。


現地建て替え案に高い評価をした最初の「みずほ調査」。
その調査を発注した佐々木前病院長は急に閑職に異動されられた。

そのあと都が改めて発注した「喜三郎調査」は移転新築案を推す内容になっていた。

これは、何かにおいませんか?

もっと言うと、「喜三郎調査」が依頼されたのは去年の10月16日。
その「喜三郎調査」が完成する2016年1月29日より前の2016年1月15日には青山移転新築案を含む予算案が提出されていた。

つまり最初から移転新築を決めていたのではないか、という疑いがあるのである。

また、「みずほ調査」は現地に足を運んで実地調査を行ったものであるが、一方の「喜三郎調査」は机上調査によるものだそうである。
2つの調査報告書を検証した専門家が、「喜三郎調査」の方は内容が作為的だと感じる、と述べたそうである。例えば比較表上に「こどもの城」の解体費用を記載しないとか、現地建て替え案の内容がわざと費用がかかる方式で記載されているなどである。

「こどもの城」の解体費用を比較表に記載しないのは明らかに作為的である。
また、現地建て替え案のコストについてだが、「みずほ調査」では比較的低コストになるように工夫された案が示されていた。全部壊してから建て替えるのではなく、段階的に行って病院機能を停止しない方式である。
「喜三郎調査」は本来ならその案と比較すべきところ、とくに工夫されていない標準的な案(いったん全部壊してから建て替える案なので病院機能の休止が発生する)と比較している。

やはり、最初から移転新築を決めていたのではないか、という疑いがある。

こうした経緯になった背景は、国から土地の購入を打診されたからではないか?と言われている。例の「こどもの城」跡地である。
当初NHKもやはり老朽化のため移転するという計画があり、その移転後の跡地を購入しよう、という話があったらしい。

しかし、NHKは予算が合わず結局移転を断念したため、国は困って今度は東京都に打診したのである。

思うに、良い買い物ならしてもいいのではないだろうか。
都が手を挙げなければ、やがて民間に渡ってしまうのだ。

問題は、それを強引に広尾病院に使うことにした点にである。

現地建て替えにすべきか、移転新築案を取るべきか、十分な検討をせずに、「土地ありき」で強引に進めた結果、前病院長を異動させたり、新たに調査報告書を作らねばならなくなった。

それでも青山に移転する新豊洲...じゃなかった新広尾病院がきちんと機能するならいいが、実はそうもいかないかもしれないのだ。

ここに大きな問題点がある。
見方によっては豊洲問題よりも深刻かもしれない。

災害拠点病院には適していない、という話が出ているのである。

前述の、トリアージのスペースが足りないという件である。
また、車両出入口が一箇所しかないということや、隣接する道路がせまいなど、交通アクセスの面がしっかり検証されていないという指摘がある。

また、移転後に病院として継続運営できるのか?という疑問も指摘されている。もともと赤字病院である広尾病院が、さらに地価が高く、競合する大型病院も多く存在する都心に移転して、病院運営は大丈夫なのかという点である。
現時点で病床利用率が6割台だというのに、移転後は災害時には800台使えるように準備するという。
もちろん災害拠点病院だから「赤字で結構!問題なし!」ということなら、口出しはすまい。

ただし、すでに700億円ではすまない、という指摘もある。
すでに900億はかかる、という専門家もいる。

豊洲東京五輪と同様、「いったん工事が始まればどんどん経費がふくらむよ」というのである。

どうしてこんな風に移転が決定したあとにさまざまな問題点が指摘されるのだろうか?
それは青山への移転シミュレーションが一度もされていないからだと言われている。
前述の「みずほ調査」が作成された時点では、まだ青山移転という話にはなっていなかったから、当然青山への移転シミュレーションにはなっていない。また、「喜三郎調査」にいたっては机上調査による分析でしかないのである。

できたはいいが、この病院は使えません、という結果にならないように願うばかりである。